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June 22, 2005

「キングダム・オブ・ヘブン劇場版」死ぬほど長文感想。

【7月8日:追記】

映画「キングダム・オブ・ヘブン」を正しく理解するためには、
字幕の改善が必須!!ということで、
字幕のどこがどのように問題だったかを詳細に検証され、
更に、DVD化されたときの字幕改善を求めて
署名運動を立ち上げられた方がいらっしゃいます。
こちらのブログさんでは関連サイトさんを
まとめて下さってますので、ご興味のある方、
是非ご覧下さいませ。

戸田なっち、リドリーがギリギリまで編集粘ったため、
作品が全て完成する前に字幕を付けなきゃいけなかったらしく、
色々大変だったそうですが、それはさておき、
間違いとか解釈の違いが結構あるので、
これはDVDでは訂正されるといいですね。
かなりストーリーが分かりやすくなると思います。
midoroも署名させていただきます☆

***************************

作品の評価:☆☆☆(映像+戦闘シーン+キャスティング)
好き度:☆☆
萌え度:☆☆☆☆(ひとえにエルサレム王のおかげ~)

エルサレム王のあまりの評判の高さに、
公開終了ギリギリ、滑り込みで観に行きました。

・・・んんー。

すみません、個人的趣味で
死ぬほどぶっ叩きますので、
純粋にこの映画に感動された方、
リドリー最高!オーリィ最高!と思われた方は
どうか回れ右でお願い致します。

この作品の評価、結構悩みました。
もし監督がリドリー・スコットだって知らなくて、
こんなにお金をかけた大作映画じゃなかったら、
「こんな映画撮るのは、どこのすっとこどっこいじゃ!!」
って張り倒したくなると思うもん。
一言でいえば、「スーパー鍛冶屋の成り上がり!
ほれ、天下取ったり!」という映画です。
一言じゃないけど・・。

リドリーだからこそ、「ああ、この人はこういう人だっけ・・」と
まだあきらめも付きますが、普通に見てたら、
何でそんなに奴がもてはやされてるのか
全然分かんないくらい、ひどい映画だと思う。
ひたすらご都合主義で、薄っぺらくて浅くて
漫画みたいな単純さです。それも低レベルの・・。
うぅ、ファンの方ごめんなさい。

この作品で救われたのは、オーリィ以外の
キャスティングがとっても素敵だったこと。
ほんとはもっともっと上手く彼らを生かせただろうに、
脚本が変なのか、あまり見せ場もなく、
勿体無い使い方をしていたので残念ですが。

あとアクションシーンはさすがに迫力があって、
リドリーの面目躍如ですね。
戦闘シーンで細かくカットを分けて
カクカクと断片的に撮影している映像とか印象的だった。
人海戦術とか火薬とかセットとか、
お金いっぱい使ってるだけのことはある。
それと、エルサレム軍の白+青がすごーく綺麗でした。
これにはうっとりした。白+赤も可愛いけどね。

そして、良かったのはキリスト教とイスラム教という
異なる神を崇める人々についてバランス良く触れて、
十字軍遠征や、信者にとってのエルサレムという聖地の意味、
神の国の意味などなどを考察しようとしたことですかね。
まあ実際は、「イスラムもなかなかやるけど、
やっぱキリストだよね!」みたいなオレ様映画でしたが。

なので、一応☆3つ、付けておきましたが、
後は糞です。(失礼!)
ストーリーがご都合主義過ぎて付いて行けません。
そして、オーリィが恐ろしいくらい魅力ありません。
若くて男前なオーリィがあんなに沢山
画面に映っているというのに、顔も写らないエルサレム王や
おっさん連中の方がよほどカッコイイのです。
もう、俳優としての力量の差を痛いほど感じました。
なんでこんな薄っぺらいんでしょうね?
ずーっとずーっと同じ表情で薄らバカに見えるし、
全然苦悩してる風にも見えないし、やることなすことアホっぽいし。
ああ、ファンの方に殺される・・。
でも、私も一応オーリィは好きなんですよ?
好きというフィルターがかかっているのにアレなので
ちょっと危機感を感じているのであります・・・。

ではここからネタバレで参ります。

【7月4日 記事の内容に間違いがあることを
ご指摘いただきましたので、数箇所を訂正致しました。
うろ覚えでいい加減なことを書いてしまいまして、
大変申し訳ございませんでした!!】

【以下、ネタバレ注意!!】
      ・
      ・
      ・
      ・
アラ探しと言われるかもしれませんが、
まず脚本に全然納得が行きません。
映画の都合のいいように、監督の都合のいいように
作られた「お話」だよなあ、って感じです。
これがただのB級アクションヒーロー映画ならともかく、
仮にも宗教戦争を題材にしたシリアスな映画で
これはないだろうよー。頭悪すぎー。
素敵なキャストたちの力を持ってしても
到底誤魔化し切れませんでした。
もーほんとリドリーの映画ってマッチョもいいとこ。

初っ端、鍛冶屋のバリアンの元に、
いきなり「私がお前の父だ!」と名乗る
リーアム・ニーソン演じる騎士ゴドフリーが
現れますが、突然現れたこの男を
バリアン、何の証拠もなく、あっさり信じちゃいますよね。
普通、これが妻との思い出の品だ!とか、
お前の母はこんなだった!とか
何かしら証拠を見せるところでは。

しかも、この父は「お前の母は最初嫌がっていたが
あれは和姦だった」的なことを言うんですけど、
これは一体何なんですかね・・?
多分、当時の騎士っていうのは、そんなに
素晴らしいもんでもなく、人もバッサバッサと殺すし
略奪もするし、とても人間的には
誉められるような存在じゃなかったんですよね。

それでも、頑張れば頑張っただけ、
領土と名誉を手に入れられるから、
騎士達は皆、生き馬の目を抜く戦場で命を張って戦い、
少しでも功を成して這い上がろうと
必死で生きてただけなんだよね!!
というようなことを言いたいんだと思うんですけど、
何でそんなこと言われてバリアンは引かないの?

【訂正①:あちこちの台詞から、騎士団は荒っぽくて
粗暴な人たちのような印象を受けたのですが、
これは字幕の訳の仕方によるものらしいです。
傍若無人っぽく喋っていた命令形の台詞も
実際の英語では丁寧な言葉だったとのこと。】

そしてバリアンはカッコ付けて
「一緒に来い」という父の誘いをあっさり断りますが、
自殺した妻の首を斬って、そのネックレスを
略奪した司祭にぶちキレ、思わずブッ刺して
思わず火の中に突き倒して殺してしまいました。
慌てて逃げ出し、丁度良かったと父に合流します。

ここで司祭を殺すのもほんと短絡的!事故とはいえ、
同情の余地がない。単なるアホじゃないですか。
だって、妻を殺されたわけじゃないんだよ!?
ネックレスは取り上げれば済むことじゃん。
大体、自殺者の首を斬れって指示を出したのは、
父親の仲間の騎士たちじゃないの?

ここ、火の中で焼けた十字架を拾って
握り締めたシーンがアップになったので、
バリアンの手の平にはきっと一生消えない十字の刻印が
焼き付けられるんだろうなと思ったのに、
その後一切出て来ないし・・。
何の意味があるんだ、一体。

【訂正②:すみません!ここは完全に私の勘違いでした。
首を斬れと言ったのは、その司祭自身でした!
たいへん失礼致しました。
しかし、当時のキリスト教の考え方に基づいて
首を斬っただけなので、殺されるほど
悪いことをしたとはやはり思えないのですが。
・・と思ったら、実はバリアンと司祭の間には、
何か他にも因縁があったらしいです。
ディレクターズ・カット版で判明する模様。】

そして、これは多分、この映画を観た全員の方が
ツッコんでるかと思いますが、
バリアンが異常に強過ぎます。
ただの鍛冶屋が、なんでそんな剣技に長けてるんですか!?
まあ、天才だったってことなんでしょうけど・・。
問題は、オーリが全然そんなカリスマさんに
見えないことであって。
ちょっと剣を教えてもらっただけで、他の騎士は
襲われてバタバタやられてるのに、
オーリはなぜか生き残ってます。
まあこれはラッキーで済ますとしても。

あ、喉に矢が貫通したのに、しばらく戦ってた人
いましたね。あんなのってありですか!?

で、立ち技での剣はともかく、
馬上での剣も難なく振るうし、槍とも戦うし、
しかもすげ強いし、おかしくねえ?
あと最大の謎、一体バリアンはいつ兵法を習ったんですか?
自分だけならともかく、騎馬戦や隊列を指示したり、
なんかいつの間にか大将になってて
戦術というか戦略というか、火薬使ったり油使ったり
櫓倒したり、とにかくすごい頭脳プレーを
展開して見せますが、おかしいだろ!
400フィート、とか測ってましたけど、
当時の鍛冶屋の知識レベルは分かりませんが、
読み書きも出来ないくらいの人もいるよね?
長さの単位とかも分かるの?ってそれはさすがに
バカにしすぎか。

あと、井戸掘ったりもしてましたが、
バリアンが思い付くまで今まで誰も思い付かなかったの!?
賢くて有能な父のゴドフリーも?ええ?うーん・・。
あと、あっさり井戸から水出てましたが、
これ、実際は何年か経過してたんでしょうか?
シビラと夕食をともにしたとき、
女性との夕食は久しぶりだ、って言ってたし。
でもそんな時間の経過を匂わすようなシーンや
エピソード、皆無なんですけど・・。
バリアンの成長ぶりで察しろ、ってこと?

もーとにかく、全ての話が都合良過ぎます。
鍛冶屋やってたら、実は有名で強くて人望もあって
財産も称号もある素晴らしい父がいて、
その地盤を何の苦労もなく継いで、本人は天才的な剣術家で
王様にも見込まれ、美しい姫には好かれ、
って何なんですか。これは。昔の少女漫画ですか?

乗っていた船が転覆したときも、
皆が死んで、浜に流れ着いて生き残ったのは
バリアンだけなのに、(またラッキーかよ!)
一切悲しんだりしてないんだよね。
サクサク、荷物を集めて馬を見つけて、
ほんと共感出来ません。万事、あっさり。

そして、一番ツッコミたかったのは、
何でバリアンは王さまの後を継がない!?
ほんと、お前1人が悪者になって、
ルノーとギーを処刑してシビラと結婚して
エルサレムを継げば、何の問題も起こらなかったんじゃないの!?
まあ、多分、今度は自分が命を狙われたりするようになるだろうし、
責任という重圧が彼の肩にのしかかって来るわけですが。

だから、良心がとか言ってるけど、
単に責任逃れの弱虫にしか見えません。
ほんとに王の後を継ぐような自信のない弱虫君ならともかく、
後で物凄い才覚を見せるので、
おっま、そんな力があるなら、最初から受けとけよ!と
腹立たしいことこの上なし。
民衆のために!とかって立ち上がってるけど、
お前が民を守るために最初から王になってれば
こんな事態ありえなかっただろ!

王様も無理やりバリアンに命じちゃえばいいのにさー。
自分の死後、王国が崩壊するのは目に見えてるのに
黙って逝っちゃうし。
あんなに真っ当そうに見えたティベリウスも、
結局、何も進言しないし。
シビラもバリアンにフラれたやけっぱちみたいに、
ギーに王位を継がせちゃうし。
王の死とともに、王国も滅びるべし、って
皆があきらめちゃったのかなあ。
それも運命、って?

出て来る人、総バカの物語って感じでした。
(あ、エルサレム王とサラディンは除く。)
戦争が好きで権力が好きで単純で何も考えてなくて、
「男ってバカだなあ!人間ってバカだなあ!
あとリドリーもバカだなあ!」という映画です。

だって、王の築いた講和がどれだけ貴重なものか分からず、
イスラム軍の戦力も読めないで喧嘩売る部下たちもバカなら、
バリアンも一時の良心とか慈悲で大局を見誤るなよ!!
実際、シビラにも突っ込まれてましたが、
「それが人間だ」「人間は過ちを犯す愚かな生き物だ」
っていう教訓話なんでしょうか、これは。
そういうことなら分かりますけど。

あと、ラブシーンも薄っぺら!!
お互いのどこに惹かれたのか全然分からないよ!
若い美しい男女がいたらラブシーン、
2人っきりになったらラブシーン、
ってお約束で決まってるから、とりあえずこなしてましたね。
いきなりガバーと。アホか!

リーアム・ニーソンもほんと魅力なしですよ。
バットマンビギンズが嘘のように死んでました。
ひどすぎる。勿体ないなあ。
皆が「ゴドフリーはすごい」「ゴドフリーはいいやつ」
って言うけど、実際何がそんなすごいのか
分かるようなエピソード、何も出て来ないんですよね。
やったことといえば、バカ息子を庇って
司教の使いを殺したことだけ・・。
ちっとも感情移入出来ないよ!

デヴィッド・シューリスは私がファンだから
思ったよりフィーチャーされてて良かったです。
なんか白髪のじじいっぽくなってるし、
40のくせに50みたいな老けかたで
おいしいとこ、ことごとく持って行ったし、
あの胸の十字がずるい!可愛いっつーの!
常に物食ってもぐもぐしてるし、
首は傾けてるし、ほんといやらしいッ!!
でもそんなシューリスにラ・ブ!
ゴドフリーを支えたときは良かった。萌えた。

謎なのは、シビラとギーって結婚してなかったの?
妻って紹介されてたよね?
なのに、ギーの戴冠式の前にシビラが言った
「あなたの妻になります」ってどういうこと?
「心から」あなたの妻になるっていうこと?
ほんとに結婚してなかったの?おかしいなあ。
ここも良くわからなかったなあ。

【訂正③:ここも、分かりにくかったのは
台詞を直訳してしまった字幕のせいだそうです。
英語でも「You have your wife.」と言っていたので、
あら?と思ったのですが、
意訳が必要な箇所だったのですね。
「私があなたの妻なのよ」=「あなたは女王の私という
妻を持っているのだから、(私が認めたからこそ)
王になれるのよ」とでも解釈すれば良いのでしょうか。】

とまあ、散々叩いて参りましたが、
この映画を見て良かった!1,000円払って良かった!
リドリーの与太話に我慢して付き合った甲斐があった!
と思わせてくれたのがエドワード・ノートンです!!
いんやー、前評判でエロいエロいと聞いておりましたが、
マジで凄い存在感と色気でした。や、やられる~。
ぐるぐる包帯の指でペンでカリカリ書いてる
最初のシーンですでにノックアウト。色っぺー!

登場したときは声とかすごく若々しくて元気っぽくて、
仮面越しに話してるくせに、すごくクリアーに声が聞こえるので
不自然だなあと思ったけど、どんどん弱って来て、
ぜーはー声になってからは丁度いい感じ。うう、萌え。

馬上のシーンなんて、どうやったらあんな弱々しく座れるの!?
ってくらい、だらーんと落ちた撫で肩、足は細いし、
とても馬の腹をしっかり締めていられなさそうで、
体全体が馬の動きに合わせてなんか
ふわふわ揺られてるし、どこから見ても病気です。

なのに、さすが王さま!
失態を演じたルノーを打ち据える!打ち据える!!
バシーンバシーンと力いっぱい叩きのめして、
ああ、王様、大丈夫かな、ハラハラと思ったら、
よたよたっと崩れ落ちちゃうし!!
ギャアア!!!私が助け起したい!!
なんかもーにじみ出る色気がすごいんですけど!
それ、バリアンに少し分けてあげて下さい!!

だらーと寝てる姿も可愛いし、
(就寝用の仮面はないのか・・)
「美しい若者だった頃」って、ププ。ノートンが。
つーか、王さま、20代だったんですね。
道理で若々しいわけだ。
ノートンってば、若作り声を出してたな。
お前、30過ぎてんだろ、ってちょっと笑えました。
シビラが王様の額にキスをするシーンは
この映画の中でほとんど唯一ジーンとした場面でした。

いやほんとに、あれだけの軍勢と力を誇る
サラディンを圧倒して、エルサレムに
講和と平和をもたらした若く美しい青年王が
今は病気でこんな姿に、ってそのギャップ、
無残さがすごいツボに来ますよね。

ノートン、美味しいよなー。
皆、「顔も映らないのに、よく出演を受けた」って言うけど、
絶対あいつ、誰よりもこの役が光るって
分かっててやってるよ!
オレ様の演技力を持ってするなら、
実は一番美味しいのはこの役だ!って。
だってほんと顔が映らない分、
一番ミステリアスで気になる存在なんだもん。
仮面の王なんて萌えツボバリバリじゃないですか。

でも、仮面から覗く目元が最初キレイで
涼やか過ぎてちょっと不自然でした。
もう目も見えなくなっててもおかしくないくらいだと
思うんだけど。瞼が垂れ下がって、
塞がってもう見えなくなってるとか。

葬儀のシーンでシビラが仮面を外すシーンは、
仮面を取って「ハッ」としたシーンで
終わってよかったのに!!
顔を映す必要ありません!
映すなら、もうすっかり原型を留めないほど
崩れていて欲しかった!!
ぐじゅぐじゅのぐじゃぐじゃでいて欲しかった!
なんか乾燥してたし、鼻は落ちて
空洞になって変形してたけど、
無事な部分は残ってるし、目元とかも割りとキレイだし、
とにかくキレイ過ぎる。
あそこは残酷で無残であればあるほど
いいシーンなんですよ。
やっぱり色々配慮したんでしょうか。

シビラが亡き王のことを思い出すときに、
あの崩れた顔が鏡に映るシーンも
別にそんなの必要ないと思うんですけど・・。

あとは、ノートンの次に、
サラディンがやっぱカッコ良かったですね。
「王は王を殺さない」っていう名台詞は、
若き16歳のエルサレム王に
かつてサラディンが助けられたりしたからなのかな?
ほんと、エルサレム王とサラディン、
この2人がメインの映画を見たかったですよ!!
絶対、バリアン成り上がり物語より面白いって!!
賢王同士のカッコイイ攻防戦が見たかったなあ!!

最後の「エルサレムに価値が?」っていう
バリアンの台詞に、サラディンが
あっさり「Nothing」って答えるのがもうカッコ良過ぎ。
「Nothing」、でも「Everything」って。深いよなあ。
このシーンもちょっと涙出そうでした。
この映画で良かったとこ2つめだ。
サラディンだって失いたくて兵の命を失ってるわけじゃない、
民の命が一番に決まってる、
それでもエルサレムは絶対に必要なんですよね。
十字軍戦争から現代に至るまで、
争いの終わらない聖地の問題を
この言葉が全部言い表してると思いました。

でもねえ、最後、サラディンが王の部屋に落ちていた
十字架を拾って立てたシーンはやり過ぎだと思いました。
そっと箱に仕舞う、くらいに留めて欲しかった。
いくらサラディンが異教徒に理解があるといっても、
実際、イスラム教徒がそんなことするわけないよね?
この映画がイスラム圏で批判されてるのも
分かります。
イスラム・キリスト双方を立てた、とか言ってますが、
結局はキリスト教徒の映画ですもんね。

【訂正④:教えていただいたのですが、
実はこのシーン、リドリーの脚本では
サラディンが『怒りに任せて十字架を叩き壊す
という演出になっていたそうです。
出たー!!リドリー、超マッチョ思想!!
景気良くガーンとやりたかったんだろうな!

でも、それじゃ、それまでのサラディンのキャラと整合性ないよ。
そんなことするような人だったら、
あんな講和築けないだろー。
エルサレムはとっくに攻め落とされてるよ。
もしサラディンがそれをやるとしたら、
それは怒りに任せてじゃなくて、
その行為が相手にどんな効果を与えるか、
味方にはどんな効果を与えるのか、ということを
冷静に計算した上でやりそう。

で、サラディンを演じていた役者さんが
『真のムスリムはその様な野蛮な真似はしない。』
と言って、このシーンは変更されたそうです。
(リドリー、野蛮って言われたも同然!プ。)
なので、midoroは「イスラム教徒が
キリスト教の十字架を大事に立てたりしないだろう!」
と、勝手に思い込んでいたのですが、
本当のイスラム教徒の方がそうすると
おっしゃってるので、これは完全にmidoroの間違い、
勝手な決め付けでした。申し訳ありませんでした!

何となく、サラディンはキリスト教(徒)のことを
「同じ人間として最大限に尊重はするが、
決して認めてるわけじゃない」
って感じかと思ってたんですよね。
だから、相手がいないところで、
自分の手で十字架を立てるっていう行為は、
キリストという神の存在も認めているみたいに見えるので、
えー?と思ったんですけど、
あれは、神とか宗教とか、とりあえず置いておいて、
エルサレム王という1人の人物への敬意でそうしたのかな。

一神教を信じてる人って、
熱心なキリスト教徒のいう「他の神は悪魔だ!」
くらいの感覚の人が多いのかと思っていたけれど、
自分の信じる神以外の神への態度っていうのは、
宗教によっても、また個人によっても違うのですね。
midoroはとにかく一般化・単純化して
レッテルを張ってしまおうとるする傾向があるので、
(というか思い込み強すぎ。)気を付けなければ。

しかし、それで言うと、リドリーが十字架を壊させようとしたのは、
イスラム教徒なら当然そうするだろうと思ってるからでしょ?
サラディンみたいに賢くて冷静で客観的で
良心的で人間の出来た人でも一律にそうすると。
それか、もし逆に、キリスト教徒がそういう立場に置かれたら、
きっと相手のシンボルを破壊するだろう、
って確信してるから、イスラム教徒に対しても
同じ発想が出て来るわけでしょう。

だから、リドリーって、映画自体もそうだけど、
宗教や個人の多様性とか良心を描いているように見せかけて、
実は単純な「力で屈服させろ!」「叩きのめせ!」
「戦い大好き!」「戦いカッコイイ!」「勝つか負けるか!」
「強いか弱いか!」「力が全て!」「強いものがエライ!」
「オレ一番!」「オレに付いて来い!」
というマッチョ思想ばっか透けて見えて怖いのです。
ほんと、お前が十字軍かっての。
これもリドリーへの勝手な決め付けかなあ・・。】

一方、王の王国はこことここに、って
バリアンが胸と頭を差すシーン、
ほんとはここすごいいいシーンなんだろうに、
全然グッと来ませんでした。
ああ勿体無い、勿体無い。

つーか、バリアンほんとずーっと
父の言葉をそのまま拝借してるだけですよね。
騎士の誓いをまんま真似っこしたときは
噴出すかと思った。
引っぱたくのも、あれは父親が息子にやるからいいんじゃ・・。
「この痛みが思い出す」とかって、
あれ、ムカつかない?何を偉そうに、と。
司祭の付き人も、叩かれてうっとりした顔してんなよ!

見せ場のはずの演説シーンもお寒いことこの上なし。
王の頼みを断ったお前が何を言うか、と
全く心に沁みないんですけど。
バリアン、自分がギーを処刑して
王の後を継がなかったせいで、こんなことになったなんて
そんな責任とか負い目とかこれっぽっちも感じてないですよね。
あと、お前だって皆と同格だったくせに、
何を騎士として上から物を言っとるか!って感じです。

そして、ラスト、海へ向かうバリアンとシビラが
手をつなぐシーンで終わらせときゃいいのに、
いやらしいんですよ!
故郷に帰ったバリアンを「イベリン卿がいると聞いた」
と言って尋ねて来た騎士に、
バリアン、「私は鍛冶屋です」って!
ええ!それじゃ質問の答えになってないよね?
「そんな人のことは知りません」でいいのに!
お互いバリアンのことだって分かってて
バリアンもバレてることが分かってるのに、
こういう腹芸みたいな会話をしてるのがむかつく!
「私はたいした者じゃありませんよ~」みたいな
謙遜がムカツク!!

【訂正⑤:ここは王が実際に喋った言葉を
覚えていなかったので、字幕の「イベリン卿」という台詞を
書いてしまったのですが、本当は、
「エルサレムを守ったバリアンに会いに来た」
と言っているみたいです。
「お前がバリアンか」
「そうです、でも私はただの鍛冶屋です」
という会話だったのかな?】

しかし、最後に獅子王リチャードを出して来るなんて、
やり過ぎー。この後、サラディンから聖地を3度奪還したとか、
そんなのはもう字幕だけで説明してくれればいいです。
戦争はこれで終わりじゃないんです、この後何年も
十字軍遠征は続くんです、っていうことを
皆に思い出させたのはいいけど、
リチャードまでわざわざ出さなくていいよ!
この辺が結局、キリスト教徒の映画なんだよねー。
イスラムの人、ムカつかない?このラスト。

ということで、前半はシューリスのおかげで
なんとかテンションを保ち、中盤はエルサレム王のおかげで
興奮し、後半はジェレミー・アイアンズのおかげで何となく。
き、傷萌え・・。ジェレミー退場後、
バリアン独壇場になってからが本気でキツかったぁ~!!
戦闘が始まってからは何とかなりましたが
死ぬかと思たよ。

あ、最後、国も王女としての地位も失ったシビラが
すっごい不服そうなのは良かったです。
普通だったら、「何もかも失ったけれども、
私には貴方がいる。これからは貴方と生きて行くわ!」
って、ハッピーエンドになるところじゃないですか。
バリアンにフラれて怒ったりとかもそうだけど、
シビラ、王女なのに人間臭くて結構好きでした。

あと、映画自体とは直接関係ないのですが、
エンドロールの最後に、らい病、
すなわちハンセン氏病について、
「現代は治療法が確立されているので
このような悲劇は起こりません」っていう
字幕が出たのも何だか興ざめでした。
こういう字幕を出してわざわざ注意しなきゃならないほど
ハンセン氏病のことが世間に知られていないことに。
そして実際理解してない人が多数いることに。

あと引っかかったのは、悲劇って言い回し。
分かるんだけど、なぜ悲劇だと殊更に強調するのか。
「このような症状はもう起こりません」じゃダメなの?
あの映画のなかで戦争で死んで行った
大量の人々の死は悲劇じゃないの?
なんで王さまの死だけが悲劇なの?穿ちすぎでしょうか。

確かに勇壮で美しかった王が、
生きながら崩れて行くことは悲劇的なんだけど、
当時の物語の中でそれを表現することはともかく、
見終わって現実世界に戻って来たときに、
らいは本当に大変な病で悲劇的で、
口に出すことがいかにもタブーです、
みたいな雰囲気を演出されるとすごく嫌。
そのうち「らい」も放送禁止用語になるんじゃないか?

話がズレてしまいましたが、
とにかくほんと少しの例外を除いて、
徹頭徹尾気に入らない映画であった、と
いうことです。自分にとっては。
でもこの映画のおかげで、
十字軍のこともっかいさらってみようかなとか
もう少し詳しく知りたくなったので、
それは良かったです。
なので、リドリーの目論見は結果的には
成功しているのかな?それがちょっと悔しいけども。

【7月4日後記】

上記のとおり、数々の間違いを記述してしまっておりまして、
誠に申し訳ございませんでした。
とりあえず、分かるところだけ訂正致しましたが、
本当はもっともっと沢山間違いがあるそうなので、
分かり次第、順次訂正を入れて行きたいと思っております。

今回、ご指摘いただいて分かったのは次の2つです。
1つめは、分かりにくく誤解を与えるようなシーンについては、
字幕の訳によるものが大きいということ。
(ごめんね、リドリーのせいじゃなかったよ!)
ですが、またまたなっち訳だということで
全然期待してなかったせいか、字幕が間違ってるのは
すでに大前提なためか、それよりも
やはり映画としての全体的な構成のザッパさ、
そして底の浅さの方が気になります。
(字幕抜きにしても、やっぱ良くわかんないよ、リドリー!!)

そこで、もう1つご指摘いただいたのですが、
字幕の訂正だけでは解消出来ない疑問点については、
ディレクターズ・カット版を見ると辻褄が合うそうです。
本当はもっともっと深い話なのですね。

ただ、midoroは基本的に、
劇場公開版が全てだと思っておりますので、
2時間の内にまとめられなかった映画は
いくら裏に深いストーリーがあったとしても、
全て存在しなかったものとして扱いますし、
専門的な知識なく初めてその作品を見る者に対し、
分かりにくい映画、誤解を与えてしまう映画、というのは、
脚本または編集が上手くなかっただけとしか思えません。
事前準備バッチリで鑑賞される方の方が
少ないように思いますので。

(といっても、十字軍て何?エルサレムってどこ?的な、
作品の背景を一切知らない人に「何も分からなかった!」
と言われたら、そりゃ自業自得!とは思いますが)

なので、「劇場版」で、
一般的な観客が楽しむ作品」としての
この映画に対する自分の評価は変わりませんが、
先に記事の中で自分でも言ったとおり、
この作品は老若男女が頭を空っぽにして楽しむような
誰でも気軽に見に行けるハリウッド娯楽大作ではなく、
宗教戦争を題材にしたシリアスな映画である、という点で
個人的に事前勉強が足りず、情報不足であったことは確かですし、
(正しく解釈出来る様に、皆がそうするべき、だとは思いませんが)
公のブログという場で、誤解したまま
不確かな感想を書いてしまったことについては、
深くお詫び申し上げたいと思います。

ということで、字幕由来の誤解などにつきましては
順次訂正して参りますが、この作品に対し、
正しい理解と評価を求めておられる皆様には
たいへん申し訳ないこととは存じながらも、
内容に関しては、やはり「劇場版」と
「ディレクターズ・カット版」は別物である、
というのがmidoroの考え方のため、
予備知識のない者が「劇場版」を見たときに
覚える不満や疑問、その一例、ということで
この感想自体はそのままにさせていただき、
「ディレクターズ・カット版」への評価は
また別の形でさせていただければと思っております。
自分のあまりの間違えっぷりに気付いて、
それほど間違った感想を放置していたことに赤面し、
穴を掘って入りたくなるのは必死かと思いますが・・。
劇場版と比べて、どれだけ評価が違うものになるか、
自分も楽しみです。

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Comments

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Posted by: Clash of Clans Online Generator | March 08, 2015 at 06:04

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文才堂様、わざわざお越し下さいまして
ありがとうございました!
神学を学ばれているという文才堂様に
こんなアホな感想をお目にかけるのが恥ずかしくて
TBは打たなかったのですが、
案の上、間違いだらけであることが発覚致しまして、
たいへん申し訳ございませんでした。

しかし、ご友人はどなたもアレに無反応でしたか!?なんと!
映画館では、私と連れの周りの温度が急上昇したと思います。
そのぐらい興奮しました。ほんと後光が射してました。

文才堂さまの記事は、他の方と違って、
ボードワン4世の「動き」について書かれてらしたので、
すごくリアルに情景が目に浮かびました。
あと一番のツボは「細い足」という描写!!
これでもう見に行くことは決定でした。
「ファイトクラブ」で、ノートンは
細い貧弱な足を丸出しで走り回ってましたが、
ノートンの魅力は「誘いS」だと思っているので、
(ヒョロヒョロ~、へろへろ~、なのに攻め!!みたいな)
ボードワン4世はまさに理想的でした。

あと、今までノートンのことをご存じなかったのに、
すごい色気を感じられた、とありましたので、
ノートンファンの方ならまだ分かりますが、
そうでない文才堂様も、ということで、
やっぱりそうか!マジで色っぽいんだ!
と確信することが出来ました。

ということで、長々と書いてしまいましたが、
見に行く気にさせて下さって、
そしてこちらにまでコメントいただきまして、
本当にありがとうございました~!!

Posted by: midoro | July 06, 2005 at 00:16

はじめまして!
ブログというものに初めてコメントを頂いて、どきどきしながら尋ねました。

こんなにしっかり映画を見て感想を書かれる方に
「これだー!」て思って頂けるとは!(笑)
あのときはほんと、映画館で口を押さえて悶絶したほどにノートンさんが耀いてました…!(笑)
いまだあの映画を見て、ノートンさんが良かったって言ってくれる友人がいなかったので、
もしや一人あらぬ妄想で見てたのかと不安だったんですが(笑)
良かったです!一人じゃなくって!(笑)

パンフレットもボードワン見たさに購入したんですが、
彼は動いてなんぼですね…!(愛)
あのしなやかな動きが本当に素敵でした。
うわー、思い出してどきどきしてます。
コメントありがとうございました!

Posted by: 文才堂 | July 03, 2005 at 06:45

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